もうすぐ施行されるProposition 19って何?
不動産エージェントの桜井きゃらです。
昨年度の選挙で可決されたProposition (プロポジション) 19の法令の一部が2月に、もう一部が4月に施行されます。
こうした法令が可決、施行されることで、選挙権のある米国市民でなくても、カリフォルニア州内の住民には様々な影響がでます。
では、このProposition 19と呼ばれる法令は、一体どんな法令なのでしょうか。
今回はProposition 19の内容をわかりやすく説明します。
Proposition 19とは、固定資産税に関する新法である。
Proposition 19は、固定資産税に関わる法令で、大きく分けて二つの条項に分かれています。
Prop 19その1は、自宅を買い替える場合、条件を満たしたホームオーナーは、現在支払っている固定資産税率をそのまま新しく購入した自宅にも適用できる、という固定資産税優遇政策です。
カリフォルニア州では、固定資産税の査定価格は年2%を超えてはならないという法律がすでにあります。
固定資産税が市場価格に合わせて再査定されるのは、売買などにより名義変更が行われた場合です。
そのため、例えば30年前に家を購入した人は、その当時から毎年1~2%しか値上がりしていない市価より非常に安い固定資産税価格を支払っているわけです。
長い間非常に安い固定資産税を支払い続けている家主が、自宅を買い替えようとすると、新しい購入価格に基づいて再査定されるために、購入価格だけでなく、その固定資産税も非常に高くなります。
これでは、定年後、小さめの家へダウンサイズしたくても、固定資産税の大幅な値上がりで生活がきつくなる、というシニアのために、1988年にカリフォルニア州の特定の郡で、Proposition 60と90という法令が適用され始めました。
それは、55歳以上の家主が、自宅を売って、同等かもう少し小さい家を購入した場合、一回だけなら、今までの安い固定資産税率を新しく購入した自宅にも適用できるという内容です。
今回のProposition 19は、もともとあったこのProposition 60と90をさらに拡大したものです。
Proposition 19その1:固定資産税優遇を受けられる条件
では、Proposition 19の固定資産税優遇措置を受けられるには、どんな条件が必要なのか、みてみましょう。
- 家主が55歳以上 (結婚している家主の場合は一方が55歳以上であればOK。)、または重度の障害がある、あるいは山火事などの自然災害の被害者である。
- 自宅の買い替えに限る。
- カリフォルニア州内のどこの物件にも適用される。
- 3回までこの優遇措置を受けられる。ただし、自然災害の被害を受けた場合は例外で、無制限で優遇措置を受けられる。
- 売却する自宅と同等かそれ以下の住宅に限らず、どんな価値の家でも優遇措置が受けられる。ただし、新規購入物件の価値が、売却する自宅の現在の市場価値より大きい場合、差額が加算される。
- 自宅の買い替えは2年以内に行うこと。
以前からあった、固定資産税優遇の恩恵が受けられるホームオーナーの範囲を、障害のある方や自然災害の被害者にまで拡大し、回数や地域、物件価値の制限を緩めたのが、Proposition 19の要項その1です。
これは今年の4月1日から施行されますが、4月1日前に自宅を売る、あるいは先に購入してしまっても、その後4月1日以降に代替え物件を購入あるいは、自宅を売却すれば、優遇措置を受けられる、とカリフォルニア州のサイトには載っています。
ただし、新しい法令のため細かい部分はまだはっきりと公表されていないので、不動産法専門の弁護士に相談して確認するのが無難です。
Proposition 19その2:家族間名義変更の場合の固定資産税優遇の制限。
Proposition 19の条項その1では、固定資産税の優遇条件が増えていますが、2つ目の条項では、逆に固定資産税優遇措置に新たな制限が加わりました。
今まで、親と子または祖父母と孫の間で譲り受けた家は、固定資産税の再査定がなく、元の査定額をそのまま引き継ぐことができました。(Proposition 58 & 193)
しかし、今回のProposition 19によって2月16日以降は、家族間名義変更で固定資産税優遇措置を受けるためには、以下のような条件がつくことになりました。
- 家族間で受け継いだ家を自宅として1年以内にホームオーナー控除を申請すること。
- 投資物件には優遇措置なし。
- 元の固定資産税率プラス$1 millionを超える市場価格の場合は、差額分が加算される。
例えば、親の固定資産査定額が$300,000で現在の市場価格が$1,500,000の家を引き継いだ場合。
$300,000(親の家の現査定価格)+$1,000,000(上限価格)=$1,300,000(控除額)
$1,500,000(現市場価格) – $1,300,000(控除額) = $200,000 (差額)
$300,000(親の家の現査定価格)+$200,000(差額)=$500,000(新しい査定価格)
以上のように、親が住んでいた時支払っていた固定資産税より多少上がるものの、現在の市場査定価格よりもずいぶん低い評価価格に基づいた固定資産税額ですむことになります。
ただし、これは物件を譲り受けた家族が、自宅として移り住んだ場合のみで、途中で引っ越して賃貸や空き家になった場合は、市場価格で再査定されることになるので、ご注意下さい。
家の名義がリビングトラストの場合でも、2月16日以降、家族間で所有権が移転する場合は、Proposition 19が適用されるとでています。
Proposition19のこの要項が施行される2月16日の前に、誰の名義を変更することによって、固定資産税再査定を避けることができるかどうか等は、個々のケースによって異なるので、不動産法専門の弁護士に相談することをお勧めします。
詳しいことは、下記のサイトでご確認下さい。
California State Board of Equalization