雨が降るとシロアリ被害がひろがるってホント?

不動産ブローカーの桜井きゃらです。

 

今年の冬は、西海岸で雨の多い日が続いていますね。

 

カリフォルニア州では、ここ数年、山火事や水不足がずっと問題になっていましたが、今年はこの雨のおかげで、カリフォルニア州の主要な貯水池は、平均貯水レベルが2024年3月7日現在で118%です。(CA Department of Water Resources

 

その一方で、豪雨のために道路の冠水や土砂崩れ、それに伴う強風で木が倒れるなどの被害が出た地域もあります。

 

水はなくても困りますが、多すぎても問題になりますよね。

 

特に、雨などの水気は建物を傷める原因になります。

 

雨で傷むのは、屋根や外壁などのエクステリアだけではありません。

 

雨水というのは少しの隙間から侵入したり、湿気を増やして家の内部にも問題を起こします。

 

水気や湿気は直接、建材を傷めるだけでなく、なんとシロアリも呼び寄せてしまうこともあります。

 

今回は、家を一番傷める原因となる水や湿気の被害の見つけ方とその防ぎ方のコツをお話しましょう。

 

 

1. 雨漏り発見!

まず、なんといっても、すぐに修理した方がよいのが、屋根の雨漏りです。

 

屋根や家の構造によって、雨漏りがすぐにわかる場合とわかりにくい場合があるので、要注意。

 

一番わかりやすいのは、フラットルーフ(Flat Roof)と呼ばれる平らな屋根で、天井と屋根の間のアティック(Attic)と呼ばれる屋根裏のスペースがない構造の家の雨漏りです。

 

天井の上はすぐ屋根になるので、屋根をカバーしている素材に問題が起きて雨水が侵入すると、すぐに天井に水が伝ってポタポタ垂れてくるので、豪雨の時などは、すぐに気づくはずです。

 

こうした平らな屋根ではなく、傾斜がついている屋根は大抵、屋根と天井の間に屋根裏があります。

 

なので、屋根に問題が起きても、すぐ天井に水が伝ってくることがないので、わかりにくい場合があります。

 

もし、以下のような状態を見たら、おそらくどこかから雨漏りしている証拠です。

 


天井に水のシミが広がってきた

 


天井の一部が膨らんで見える

 

この天井が屋根のすぐ下や最上階の天井ではない場合、雨漏りではなくて、上の階のバスルームなど家の中のどこからか、コンドミニアムなどなら他のユニットからの水漏れが流れ込んでいる場合もあります。

 

明らかに雨漏りの場合は、屋根専門業者に調べてもらうことになりますが、屋根以外の場所から漏れているかを調べるには、水道業者や水漏れ探知専門業者等に頼むことになります。

 

こうした水漏れをすぐに修理しないと、湿気によって建材が傷むだけでなく、カビが屋根裏や壁の内部に繁殖して、室内の空気汚染の原因にもなります。

 

ほっておくと屋根全体を葺き替えなどの大がかりな工事になり、費用もかさむことになりますので、ご注意下さいね。

 

 

2. 家の中の水漏れ

外からの水の侵入よりも、もっと多いのが、家の中の水回りの水漏れです。

 

まずは、キッチンシンクの下にたくさん物が入っていて、気が付かないうちにあちこちにシミができていたら要注意。

 

シンクの下には水道の排水管以外にも、食洗器やディスポーザー(garbage disposal)、または浄水器の配管などが設置されている場合があり、どこからどのように漏れたのかを確認して早めに修理する必要があります。

 

日本人の方は、よく食洗器を使わず、洗った食器を置いて乾かすだけに使っている場合があります。

いざ、久しぶりに食洗器を使ってみたら、シンクの上の蛇口のそばについているエアギャップから、水がシンクの中にあふれ出て、びっくり!?

 

なんてことはありませんでしたか?

 

これは、エアギャップとディスポーザーにつながる排水管が詰まってしまって、エアギャップから排水が逆流してシンクに出てしまっているからです。

 

水道業者に依頼してクリーニングしてもらうか、ご自分でエアギャップのキャップを開けて、エアギャップ用のブラシを使って排水管を掃除すれば、解決します。

 

エアギャップからキッチンシンクの中に水があふれるならまだましですが、シンク下のパイプからの水漏れがないように、普段から時々チェックするとよいかもしれません。

 

次に問題になるのがバスルーム

 

バニティシンクの下はキッチンシンクの下ほど複雑ではありませんが、シンク上の蛇口はきれいに見えても、シンク下の蛇口の下の部分がさびてしまって水が漏れる、という場合もありますので、シンクの下は時々確認するとよいでしょう。

 

よくある水漏れは、シャワーやバスタブのガラス戸やシャワーカーテンから床や周りの壁に水が漏れて、床と壁のつなぎ目にあるベースボードが傷んだり、辺りがカビで黒く変色してしまうことです。

 

ほっておくと、ベースボードや床の張り替えなど大きな修理につながります。

 

バスタブやシャワールームの外に水が漏れないよう、コーキングをやり直す、などの対策が必要です。

 

バスルームは何と言っても湿気がこもりやすい場所なので、換気は必要です。

 

家のデザインによっては、換気扇がついていない、窓もないバスルームもあります。

 

そうすると天井や壁に湿気によるカビが生えやすくなるので、専門家に相談して換気扇をとりつけた方がよいかもしれません。

 

 

 

3. 水とシロアリ 

さて、では、雨が降るとシロアリ被害が増えるのか、についてお話しましょう。

 

シロアリと一口に言ってもいろいろな種類があります

 

北カリフォルニア州の住宅で問題になるのは、ドライウッドターマイツ(Drywood Termites)サブテレニアンターマイツ(Subterranean Termites)という種類です。

 

Drywood Termites(乾材シロアリ)

このシロアリは、たぶん一番よく知られているシロアリで、外から飛んで来て、木材に巣くうシロアリです。

 

屋根の軒下、Wood Sidingと呼ばれる木でできた外壁木材や木製の床(ハードウッド)、家の構造部分の木材など、木製の部分を食い荒らします

家の内部はわかりにくいかもしれませんが、軒下やエクステリアの木材の下にペレットと呼ばれる粉のようなフンが散らばっている、あるいは木材に無数の穴があいている、かなり傷んでいる場合は、触ると中がすっかり空洞になっていて木がボロボロになってしまうので、わかります。

 

一度、傷んでしまうと、傷んだ木材を新しいものと取り換える必要があります。

 

そして、このシロアリ退治をするには、フューミゲイション(fumigation: 燻蒸消毒)と呼ばれる、家全体をテントで覆って殺虫ガスを注入する方法を使います。

 

このタイプのシロアリは水気には関係なく、外から飛んで来るので、Fumigationをしても、またしばらくしてシロアリが戻ってくるという可能性もあります。

 

 

Subterranean Termites(地下シロアリ)

実は、この地下シロアリが湿気の多い時に活発化します。

 

英語の名前の通り、このシロアリは地下に巣を作り水気のあるところに寄ってきて湿った木材を食い荒らします

 

よくあるのは、バスルームをリモデルしようと壁を開けたら、中の木材がこの地下シロアリに食い荒らされていた、というケースです。

 

外からはわかりにくいので、湿気や水気で傷んでいる箇所があれば、早めに直しておかないと地下シロアリを呼び込むことになります。

 

例えば、このお宅は、2階のバルコニーからの雨漏りでバルコニーから続く一階の天井や壁に水が伝って、内側の壁やベースボードも傷んでしまったケース。

 

壁を開けてみると、内部の木材に地下シロアリが通った後が筋になっており、実際にシロアリが動いているのも見えました。

 

まずは、バルコニーの雨漏り修理のコーキングをして、傷んだ木材を新しいものと取り換えました

 

しかし、地下シロアリは地中に巣を作っているので、それを退治しなければなりません。

 

地下シロアリの退治は、地面の小さな穴から地下に殺虫剤を注入して巣を全滅させます。

 

地下シロアリの被害のある家の部分が土であれば、簡単ですが、もしコンクリートのパティオやガレージ内の場合は、コンクリート部分に殺虫剤を注入できるような小さな穴をドリルで開けます

 

たくさんの小さな穴から丁寧に殺虫剤を注入した後、業者がコンクリートの穴も埋めてくれるので、あまり目立たなくなります。

 

もしこれがタウンハウスなど壁でつながった建物で起きた場合は、HOAや隣の住人たちと相談して、建物全体をやるか、などの大きな作業になります。

 

雨が降り続いて、どうも家の一部が常に湿気を含んでいる、あるいは家の内部で水漏れがある場合は、できるだけ早く対処しないと、多くの費用と労力がかかりますので、くれぐれもご注意下さい。

 

 

4.  水と家の土台

家の外や中だけでなく、とても大切な部分が家の土台です。知らないうちに水で土台を傷めている場合があります。

 

家の土台といっても、いろいろな種類があります。

 

Concrete Slab Foundation/ Slab-on-Grade :直床(じかゆか)式土台

 

コンクリートスラブ土台と呼ばれるこの直床(じかゆか)タイプの土台は、地面に流して固めたコンクリートの上にじかに建物が建っている床下が全くないタイプの土台です。

 

このタイプの土台は、水道の配管などを通す床下がないため、床下のコンクリートの中にパイプが埋め込まれている場合があります。

 

万一配管が古くなって水漏れしたとしてもわかりにくく、床が変色するなどしないと見分けがつかず、また、修理費用も高くつきます。

 

一般的には丈夫な土台ですが、もし長期間、水分にさらされると、鉄筋コンクリート土台に影響を及ぼす可能性もあるので、要注意です。

 

Crawlspace Foundation:二重床

クロールスペース(Crawl space)と呼ばれる床下付き土台は、日本では二重床と呼ばれていますが、建物外枠の基礎、土台の上に床があり、束石(つかいし)となるコンクリートの上に束柱(つかばしら)がのっていて、中で床を支えています。

 

このタイプの土台は、人がかがんで通れるくらいの床下スペースに、水道やセントラルヒーターの配管などがあり、床下のインスペクションをすると、水漏れで床裏が傷んでいるなどがわかります

 

どのタイプの土台にしろ、一番の大敵はなんといっても水

 

雨が降っても、雨どいが落ち葉などでつまってしまって、水が雨どいから直接家の周りにたれてしまう、

 

あるいは、雨どいから雨水を建物より外は排出する雨どい受けのパイプ竪樋(たてどい)が、きちんと建物の外へ雨水を流すように設置されておらず、建物の土台周辺に水がたまってしまう

 

ということが長い間続くと、家の土台を傷める原因になります。

 

具体的に言うと、土台のコンクリートの中には鉄筋が入っていますが、コンクリートが水分を吸い込んで、中の鉄筋が錆びてしまうと、湿気や乾燥によりコンクリートの土台が膨張や収縮をして亀裂を生じることになります。

 

そのため、古い家の床下にもぐってみると、土台コンクリートにヘアラインクラックと呼ばれる細い亀裂が入っているのはよくあることです。

 

きちんと土台をメンテナンスするには、雨水や家の中の水もれを防ぐだけでなく、もう一つ大切な注意事項があります。

 

それは、庭の芝生や植物への水やりシステムを見直すこと、です。

 

一番、まずいのは、家の外壁に沿うような場所に、水分をとても必要とする植物を植えて、自動散水ドリップシステムなどで、常に水やりをすること。

 

これは、家の土台に常に水を与えているようなもので、長期間のうちに建物を傷めてしまいます。

 

家の周りに植物を植えたい時は、家の壁から離した場所に植える、あるいは、あまり水分を必要としない植物にするなどの考慮が必要です。

 

また、芝生への水まきスプリンクラーが、いつも家の外壁にまで水をかけている、あるいは、フェンスに常にあたっている、などがないか点検してみて下さい。

 

自動設定していると、知らない間に長期間、水気があたることで、土台や木材部分がいたみ、木材部分にはシロアリがつくことにもなりかねません。

 

土台が歪んでしまうと、家の窓やドアが開きにくくなる、地震の被害が大きくなる、などの危険もありますので、気を付けてくださいね。

 

5.  シロアリインスペクション

では、シロウトが見てわかる範囲以外のシロアリや水気のダメージをどうやって見つけたらよいのでしょうか。

 

家を売る際には、シロアリインスペクションと家の家電製品の機能なども調べるプロパティインスペクションを行います。

 

プロパティインスペクションは費用も高めですが、シロアリインスペクションは、床下があるかないか、や家の大きさでも異なりますが、おおよそ$200~400くらいです。

 

シロアリインスペクションは、主に、シロアリやカビなどの被害、と水漏れダメージなどの場所を見つけてくれ、修理に必要な見積もりも出してくれます。

 

屋根裏や床下など、自分では入って調べることができないような場所に潜って、調べてくれますので、家全体の見えない部分の検査をすることができます。

 

シロアリインスペクションリポートは、家の中の修理が必要な部分をセクションIとして、緊急性はないけれど要注意な部分をセクションIIとして図入りで説明してあります。

 

シロアリインスペクション会社は、サブコントラクターと契約しているので、レポートの見積もりを見て、必要と思われる部分だけの修理を頼むことも可能です。

 

こうしたプロに頼むことで、見えないところのメンテナンスを任せるのも一つの方法です。

 

結論

古くなった家屋は壊して新築にする日本と違って、カリフォルニアでは、100年以上前に建てられてた一軒家でも、メンテナンスしながら住み続けることができて、そんなに古い家でも高く売れていきます。

 

古い家が多いベイエリアでは、定期的に家を点検して、メンテナンスすることで、家の価値を維持することができます。

 

 

将来高く売れるかもしれない資産であるご自宅の価値を維持するためにも、また、問題なく快適に過ごすためにも、こうした水の被害を防ぐ対策を考えてみてくださいね。

 

 

<引用・参考文献記事・データ・画像>

 

 

 

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