シリコンバレーでは、住宅ローンは死ぬまで払い続けなくても大丈夫?

不動産エージェントの桜井きゃらです。

『死ぬまでローンを払い続けなければならないのでしょうか。』

『今から30年固定ローンを組んで大丈夫でしょうか。』

日本人のお客さんは、自宅購入の時、よくこのような心配をされます。

日本人以外のお客さんが、ローンの完済など気にせず、借りられるだけ借りまくって不動産を購入しようとするのとは、とても対照的です。

それは、日本人の方が、日本での不動産市場のイメージで、シリコンバレーでの不動産購入を考えてしまいがちだからです。

『家は一生の買い物』

『定年前に、住宅ローンから解放されたい』

だから、大きなローンを抱えるのは、非常に不安、と考える日本人と、気にしないアメリカ人や諸外国の人たち。

では、なぜ、アメリカ人や他の外国人は、住宅ローン完済など気にせず、シリコンバレーで家を買うのでしょうか。

なぜ、彼らは、大きなローンが残る心配をしないのでしょうか。

そこで、シリコンバレーでは、住宅ローンは死ぬまで払い続けなくても大丈夫だという根拠になる、5つの理由をみてみましょう。

 

 


 

理由その1:シリコンバレーでは、不動産価格が上がり続けている。

こちらのグラフは、2009年からのサンタクララ郡での不動産売上価格の平均値の推移をあらわしています。

これは、あくまで郡全体の平均値ですが、不動産平均価格はこの10年で2倍になっています。

2009年に600,000ドルの家を20%の頭金と80%の住宅ローンで購入した人が、今年、その家を売った場合を考えてみましょう。

たとえ、売値が2倍とはいかなくても、購入した時の価格以上で、ほぼ確実に売ることができれば、480,000ドル (600,000ドルの80%)のローンを返済して、諸費用を支払っても、頭金分を取り戻して、十分おつりが手に入ります。

日本では、場所にもよりますが、中古住宅がこれほど高騰して売買されることは少ないでしょう。

同じアメリカ国内でも、シリコンバレーほど、不動産価格の高騰が激しいところは、それほど多くありません。

不動産価格は景気や雇用など、様々な要素に左右されますが、シリコンバレーでは、まだまだ、不動産価格は上昇していくと思われます。

そのため、日本人以外の買い手は、家族親戚中お金をかき集めて、レバレッジをかけてでも、シリコンバレーで不動産を手に入れようとします。

それは、イクイティが上がってから、売却すれば、十分、ローンを完済する金額が手に入ることをよく理解しているからです。


 

理由その2:シリコンバレーでは、中古住宅の流通システムが発達している。

日本国内の中古住宅市場は15%程度で、アメリカ国内はその逆。売買される住宅はほとんどが中古物件です。

サンノゼ市のダウンタウン近くの家は、築100年以上という物件も珍しくありません。

こんなに昔に建てた家なのに、ちょっと修理をしてペンキを塗るだけで、今の市場価格で売れていきます。

逆に、古いアールデコ調のデザインが家の価値を上げる場合もあります。

こちらでは、構造や土台に問題があって、どうしてもやり直さなければならない場合以外は、まず、取り壊して新築にすることはありません。

その理由は、

  • 新築物件は市役所の認可をとりつけるのに時間とお金がかかる。
  • 新築や増築をして市や郡に届け出ると、固定資産税の査定額が上がる。
  • 近所や街並みの景観にあった元の家のデザインを大切にする傾向がある。

もちろん、例外もありますが、通常、その地域の雰囲気にあった中古住宅を、きれいに直して、売り買いする、これが当たり前の社会です。

大きなローンを抱えていても、売る時は、普通に売ることができるため、いざとなったら売ればいい、という考えが、ローン完済へのプレッシャーを取り除いてくれる、一つの理由になるかもしれません。

 

 


理由その3:シリコンバレーでは、家の買い手が、山ほどいる。

シリコンバレーというより、カリフォルニア州自体、深刻な家不足に悩まされ続け、賃貸も含めてまだまだ家を必要としている人がたくさんいます。

アメリカのよその州から来た方でも、シリコンバレーの家の値段の高さに驚く人が多いのですが、これは、まだまだ家の数が足りないからです。

アメリカでは、地域によって、地方自治体や住民の意見が地域の開発に大きな影響を与えます。

ゆったりと大きな土地区画に一戸建てが建っているような裕福な地域では、日本のような分譲建売一戸建てを建てようとデベロッパーが建築許可を申請しても、市や住民の反対にあって却下されることもしばしばあります。

建ぺい率や建築基準法、ゾーニングという土地使用目的に関する規律などそれぞれの地域によってちがうので、新築を建築するのは時間とお金がかかります。

一方で、カリフォルニア州、ベイエリア、そしてシリコンバレーは、IT産業の成長にともなって、雇用も伸びて、当然、人口も増え続けています。

そのため、こんなボロボロの家を買う人がいるの?というような中古物件が、場所によっては高価な値段で取引されます。

どんな家の売り方をするかや市場によって価格は変化するものの、買い手が来ないのではないか、という心配は、シリコンバレーでは必要なさそうです。

 

 


 

理由その4:シリコンバレーでは、住宅販売の流動性が高い。

日本では、

『マイホームを手に入れたら一生その家に住む』 

『家は一生の買い物』

と考える方は多いかもしれません。

アメリカでは、自宅を持っている期間は、平均7~10年と言われています。

日本では、企業に勤めたら単身赴任は当たり前。

家族や子供たちは学校進学などを考えて、地元に残り、企業戦士として家族の生計を支える方が一人で転勤するのは、よくあります。

アメリカでは、この単身赴任がほとんどありません。

家族は一緒に暮らすもの、というのが当たり前の社会。

夫婦どちらかが仕事が見つかって、別な地域へ移動しなければならなくなったら、家族みんなで新しい土地へ引っ越すのが当たり前。

新しい環境へ飛び込んで、家族みんなで、新しい生活をスタート、というのは、アメリカの開拓時代の歴史から見ても普通のことです。

そのため、アメリカ人は、仕事が見つかった、あるいはリタイヤするから、といって、家族で、別な市や州へ引っ越すことも多いのです。

州によって、税制や税率、家賃や不動産価格も違うので、臨機応変に家を借りたり、買ったり、売ったり、貸したり、とフレキシブルに考えるのが、アメリカ流。

ライフスタイルが変わったら、家を売る、買う、のが当たり前のこうした社会習慣が、景気に左右されながらも、アメリカの不動産市場を支えています。

特に移民の大変多いシリコンバレーでは、こうした傾向は今後も続くと思われます。

 

 


 

理由その5:シリコンバレーでは、豊富なローンプログラムが可能。

最後に、売却せずに住み続けたいが、どうしてもローンが負担が、気になる方へ。

あなたは、あと何年、アメリカに住み続け、この10年はどんな生活を送るとお考えでしょうか?

アメリカでは、30年固定住宅ローン以外にさまざまなローンプログラムがあり、リファイナスと呼ばれる、ローンの組替えも非常に盛んです。

こちらの住宅ローンの利率の推移を見ていただくとわかるように、アメリカでは、1980年代には住宅ローンは15%前後という非常に高い利率でした。

この当時の方にとって、この利率で家を買うのはギャンブルみたいなものだったと思います。

ところが、住宅ローンの利息は年々下がって、今では30年固定ローンが平均3.01%という歴史的な低さです。

もちろん、ローンの利率が再び上昇することはありますが、利率が下がった時、あるいは、ローン残金が減ってきた時にローンを組替えることによって、負担を減らすことができます。

アメリカでの住宅ローンは、固定、変動、40年ものから10年もの、最初の3~7年が固定でその後変動になるハイブリッド型などさまざまな種類があります。

また、家を担保にして、現金を引き出すホームイクィティローンやHELOCと呼ばれるキャッシュアウトタイプもあります。

最後の切り札として、もし、家を誰かに残すことを考えないで、自分が62才以上ならば、リバースモルゲージという、家を担保にして、自分が住んでいる間は全く返済しなくてよいローンを組んで生活費にあてることも可能です。

こうした様々なシステムがあるのを知ることで、不安が取り除かれることを祈っています。

 

 

 

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