水の話 その1:硬水と軟水

不動産エージェント・ブローカーの桜井きゃらです。

 

大型ハリケーン『アイダ』による水害で、ニューヨークの地下鉄が浸水するなど、東海岸や南部では記録的な豪雨で大きな被害がでました。

 

一方、カリフォルニアなど西海岸では未だに山火事被害がおさまらず、乾燥した日々が続いています。

 

そのため、カリフォルニア各地では、貯水池の貯水量が急激に減少し、深刻な水不足が心配されています。

 

サンフランシスコやサンマテオ周辺は、ヨセミテ自然公園近くのヘッチヘッチィ貯水池 (Hetch Hetchy reservoir)等を水源としており、水質は比較的軟水です。

 

しかし、サンノゼ市などシリコンバレーのサウスベイと呼ばれる地域は、主に地下水を水源としているため、非常に硬度の高い硬水の地域が多いです。

 

硬水、軟水とよく聞くかもしれませんが、果たしてその違いはなんだかご存じですか?

 

今回は、この硬水と軟水について、わかりやすく説明します。

 

 

1. 硬水と軟水のちがいはなに?

 

簡単に言うと、水中のカルシウムやマグネシウム(いわゆるミネラル分)が多い水が硬水(Hard Water)で、ミネラル分が少ない水が軟水(Soft Water)です。

 

では、どんな基準で硬水軟水を分けているのでしょうか?

 

日本やヨーロッパでは、mg/Lと1リットルの水に何mgのミネラル分が入っているかではかります。

 

アメリカでは、mg/L をPPM (Parts Per Million)と置き換えて使われてもいます。

 

また、GPG (Grains Per Gallon)も使われています。

 

WHO (世界保健機構)では、60mg/L (3.5 GPG)以下が軟水120mg/L(7.0 GPG)以上が硬水と分類しています。

 

 

 

 

2. どの地域が硬水か軟水か?

 

水質の違いができる要因は、その地域の地質や地形にあります。

 

 

花崗岩(かこうがん)が多く、山から海までの傾斜や起伏が激しい日本では、水が地中にとどまる時間が短く、すぐに流れてしまうので、地層のミネラルをあまり含まず、軟水になります

 

日本では、一部を除いてほとんどの地域が軟水ですが、関東地方は硬めで、関西方面は軟水と、地域によって、多少差があります。

 

一方、ヨーロッパやアメリカでは、ミネラルの溶け出しやすい石灰質の地層が多く、広大な土地で、地形もなだらかなため地下水がミネラルをたっぷり含んで、硬水となります。

 

アメリカ国内で最も高度が高い硬水の地域は、テキサス、アリゾナ、ユタ、ネバダなどと、カリフォルニア州の一部の地域、サンノゼも硬水の地域になります。

 

同じベイエリアでも、サンフランシスコ、サンマテオ、パルアルトは、ヘッチヘッチィ貯水池 (Hetch Hetchy reservoir)等を水源とした軟水です。

 

ロスガトス、ロスアルトス、サラトガは、比較的硬水サニーベール、サンノゼはかなりの硬水と言われています。

 

しかしマウンテンヴューなどは、同じ市内で軟水、硬めの中軟水地域に分かれます。

 

(マウンテンヴュー市水質調査サイトをご覧下さい。)

 

同じ市内でも、異なる水源から水をひいている場合があり、平均的硬度を数字で割り出すのは難しくなっています。

 

市販の水質検査キットなどで、水の硬度をはかることもできますので、気になる方はご自宅の水の硬度をはかってみるとよいかもしれません。

 

ご参考までに、The USGS (United States Geological Survey:米国地質調査所)のデータに基づく地域別硬度を載せました。

地域

平均的水の硬度

サンフランシスコ

47 PPM (mg/L) または、 3 gpg

マウンテンヴュー

8~118 PPM (mg/L) または、 0.5~6.9 gpg

サニーベール

300 PPM (mg/L) または、 17 gpg

サンノゼ

320 PPM (mg/L) または、 19 gpg

 

3. 味、健康等への影響は?

 

<味>

 

では、硬水と軟水のどちらが、おいしいのでしょうか?

 

硬水は、カルシウムとマグネシウムを多く含むため、独特な匂いや味にクセがあり、苦みを感じる人もいるかもしれません。

 

一方で、軟水は、ミネラルが少ないのでクセがなく、口当たりが軽く、飲みやすいのが特徴です。

 

日本の水道水や日本産の水ボトルは、ほとんど軟水なので、日本人には硬度の低い水の方が合うと言われています。

 

 

<健康>

 

硬水と軟水のどちらが、健康によいと思いますか?

 

胃腸が弱い方や胃腸が未発達な小さいお子さんには、ミネラルの多い硬水は、体に負担がかかると言われています。

 

マグネシウムが多いと胃腸障害を起こす場合があるからです。

 

軟水の方がおなかにやさしいので、水分補給や粉ミルクを溶かすお湯には、軟水がおすすめです。

 

軟水は体への浸透・吸収も早く、老廃物の排出も助けてくれます。

 

逆に、硬水はミネラルが多く、腸を刺激してくれるので、便秘気味の方には、便通をよくしてくれる効果があるとか。

 

ミネラル分が多いため、硬水を飲むと動脈硬化や心臓病予防にもなる、という研究報告もあります。

 

<調理>

 

調理やお茶を飲む時は、どちらの水がよいでしょうか?

 

硬水に含まれるマグネシウムには独特の苦みと風味があるので、肉の臭みを消したり、煮込んだ時にアクを出しやすくする働きがあるため、洋風の肉の煮込み料理にむいています

 

日本でも、沖縄は硬水なので、硬水でアクや臭みをとった豚肉料理が親しまれています。

 

 

 

ただし、素材の風味を活かしたい料理には、硬水は適していません。

 

素材の香りやうまみを引き出す日本料理などには、無味無臭の軟水の方が適しています。

 

軟水でだしをとったり、お米を炊くと、硬水を使った時より、風味がよくなります。

 

日本茶や紅茶も軟水で入れると風味も口当たりもよくなります。

 

比較的水の硬度が高い関東地方では、風味の強い濃い口醤油や、アクの強いカツオだしがよく使われます。

 

それに比べ、軟水である関西地方では、素材の旨みを活かした昆布だしがよく使われます。

 

こうした調理方法や味付けの違いも、水の硬度に関係しているのかもしれません。

 

<美容>

 

アメリカに来てから、髪の毛を洗うとどうもパサパサと乾燥する、と感じた方はいませんか。

 

硬水で、髪や体を洗うと、カルシウムやマグネシウムが髪や皮膚に残って髪が乾燥したり、肌がつっぱるような感じがします。

 

硬水では、石鹸が泡立ちにくくなります。

 

逆に、軟水では、石鹸の泡立ちもよく、髪や皮膚にミネラルが残らないので、つっぱるような感じは残りません

 

かなりやわらかい軟水だと、まるで石鹸がおちていないような、ぬるぬるした感触があります。

 

しかし、石鹸が残ってぬるぬるするわけではないので、軟水ですすいだあと、肌がしっとりとします。

 

乾燥を防ぐには、軟水の方が髪や肌にはよいようです。

 

 

4.硬水の生活への影響は?

 

硬水で、乾燥したようになるのは、髪や肌だけではなく、洗濯物にもおこります。

 

アメリカでタオルやTシャツを外に干すと、まるで洗濯のりをつけたように、パリパリに固くなってしまうことがあります。

 

これは、硬水のミネラルが繊維に残るために、布地が乾いたときに固くなってしまうからです

 

しかし、乾燥機で乾かすと、ミネラル分がとばされるので、外に干した時より、ふわっと柔らかくなります

 

また、ガラスのコップに硬水を入れ、時間がたつと、コップ内の水の高さに合わせて白い輪のようなカスが残ります。

 

コップの内側にこびりついた白いよごれのようなものは、普通の皿洗い洗剤を使ってもなかなか落ちず、ガラスの透明感がもどりません。

 

また、水道の蛇口ステンレススチールの食洗器の表面などが白いフィルムで覆われたように、艶をうしなってにごった色になります。

 

こうした白いよごれのようなものは、水中のカルシウムやマグネシウムが表面にこびりついたものです。

 

これは、よく日本で電気ポットの中や、やかんの口などに白く付着しています。

 

こうしたミネラル分の析出したものを英語でスケール(Scale)とよんでいます。

 

 

実は、このスケールが水回りでいろいろな問題を起こします

 

たとえば、キッチンの蛇口からの水の出が最近悪くなった、と思ったら、

 

このスケールが蛇口のスクリーンにたまって水の出を悪くしていた、ということもあります。

 

また、タンク式のウォーターヒーターから、タンクレスウォーターヒーターに替えようとしても、

こちらの業者はあまりタンクレスウォーターヒーターをすすめない場合があります。

 

硬水のミネラルはで水分が蒸発すると、より多くのスケールを発生させ、

タンクレスウォーターヒーターの目詰まりの原因になるので、メンテナンスが大変だからです。

 

 

5. 解決方法は・・・

 

では、どうしたら、このような硬水によるトラブルを解決できるのでしょうか?

 

硬水のために、こびりついてとれないスケール(ミネラル分)をとるにはどうしたらよいでしょう?

 

普通の洗剤では、なかなか落ちないスケールは、実はこれを使うと簡単に落ちます

 

それは、なんです。

 

カルシウムやマグネシウムは酢で溶けるため、

スケールのこびりついたガラスのコップやステンレススチールのシンクや食洗器の内側などを、

お湯で薄めた酢につけておくとすぐにとれます。

 

それでもなかなか落ちない頑固なスケールには、この『カルシウム、ライム、ラストリムーバー』がおすすめです。

 

ただし、アルミニウムや銅製品など、使用するとかえって表面を傷める素材もありますので、説明書をよく読んでからお使い下さい。

 

 

では、硬水の地域に住んでいたら、ずっと硬水の影響と戦いつづけなければいけないのか。。。

 

実は、硬水を軟水に変える装置があります。

 

ウォーターソフトナーという装置です。

 

物件内覧をしている日本人のお客さんが、ガレージにある酸素ボンベのような装置を見つけて、

 

「これは、一体何ですか?」と聞かれる場合があります。

 

ウォーターソフトナーです。」と答えると、大抵の方は、

ウォーターソフトナーって何ですか?」と聞かれます。

 

ほとんどの地域が軟水の日本では存在しない装置なので、日本人の方はびっくりされます。

 

では、具体的にウォーターソフトナーどんな働きをするのか、

 

それは、また次回お話いたしましょう。

 

続く。。。

 

 

 

 

 

 

 

You may also like...

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です